Mr.Childrenって実はめっちゃすごいバンドなのでは
Mr.Childrenって知ってますか?
いかにもパンピーが好みそうないけ好かないバンドですよ。キラキラした。悩みとか無さそうな感じの。
すみません。僕が間違ってました。
いや、この前NHKのドラマ見てたんですよ。『この声をきみに』ってドラマなんですけど。
このドラマの中でミスチルの『HERO』の歌詞を朗読するシーンがあるんですよ。
で、その『HERO』の歌詞にビビッと来たんですよね。
例えば誰か一人の命と
引き換えに世界を救えるとして
僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ
もうね、この冒頭のフレーズだけで「この桜井和寿って奴は信用できる人間なんだな」ってビビッと来ちゃいました。今まで抽象化されて、「キラキラ系の唾棄すべき音楽」の箱に入っていた僕の中のMr.Childrenは「ちゃんと真面目に聞いておくべき音楽」の箱に移されました。
このフレーズ、すごく良くないですか。「英雄になりたいけど、英雄たりえるだけの勇気や才気を持っていない自分」を自嘲的に、ちょっとニヒルに、悲しそうに。
「英雄になりたいけどなれない」ってすごく普遍的な苦しみだと思うんですよ。
昔、大学を中退してフラフラしていた8個ぐらい年上の従兄弟が「でもやっぱりさぁ……主人公にはなれねぇよなぁ……」と遠い目をしながら言っていたのを思い出します。当時高校生だった僕は「ダメ人間が主人公の物語なんていくらでもあるんだから、主人公になれないなんてあり得ないっすよ!」と反論した覚えがあります。いやそういう話をしてるんじゃないって事は重々承知しているのだけれどね。そう言ってなきゃやってらんないのだなぁ。僕らはやっぱり「名乗り出るのを待っているだけの男だ」から。
こういう詩を書けるって事は桜井さんも似たような苦しみを知っているのだと思う。キラキラした面白みの無い天才だと思っていてごめんなさい。これから少しずつ聞くよ、あなた達の曲。