キィの日記

趣味のお話とか

書評

83 誰も太陽を見ることは出来ないけれど

柱にくくられてさらしものになっても、俺は存在するし、太陽を見ているんだ。太陽が見えなくたって、太陽の存在することは知っている。太陽の存在を知ってるってことは、それだけで、もう全生命なんだよ。 ※ドストエフスキー 原卓也(訳)『カラマーゾフの兄…

78 今年読んで面白かったやつら

少女革命ウテナ 本じゃないじゃん!いいだろ!メディアなんだから!メディアは読み物なんだから! 今年最も大きな僕の感情の一つです。ウテナ。 関係性の暴力で重いストレートを顔面にラッシュしてくるアニメ。 これを観てから自分が「関係性」に着目するタ…

品田遊『名称未設定ファイル』 感想

我々が住むインターネットで日夜起こる出来事をテーマにしたものを主として取り上げつつ、インターネット要素はそれほどでもないSFまで、品田遊が自分に書けるものを出来るだけ沢山持ってきてくれたショートショート集。 17篇すべて面白い。 だが、特筆すべ…

江波光則『我もまたアルカディアにあり』 感想

天国は見つかったか。 我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫JA) 作者: 江波光則,loundraw 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2015/06/24 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る 人の一生は何のためにあるのか。その解答の中で最もポピュラ…

57 『SWAN SONG』 切実に生きることについて

こんな糞みたいな世界で何かを望むのって本当に疲れると思います。そして、「僕は何も望んでいません」と何らかの形でハッキリ表明しようものなら、落伍者として蔑まれ罵られ孤立していく。だから「望むフリ」「希望するフリ」をして生きていかなくちゃなら…

2017面白かった本5選

書こう書こうと思っていたらいつの間にか年が明けてました。 あくまで「僕が2017年に読んだ本」であって2017年に出版された本ではないのであしからず。

書評 滝本竜彦・『超人計画』

日本全国津々浦々、古今東西、ダメ人間という生き物はいっぱいいます。 その中でトップクラスにダメ人間だと個人的に思っているのが、今回紹介する『超人計画』の著者・滝本竜彦先生です。

書評『スローターハウス5』 カート・ヴォネガット・ジュニア

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302) 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,和田誠,伊藤典夫 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1978/12/31 メディア: 文庫 購入: 26人 クリック: 894回 この商品を含むブログ (230件) を見る…

書評 秋山瑞人・『猫の地球儀』

二冊でワンセットよ。 あらすじ 地球の周囲を回っている、「トルク」と呼ばれるコロニーらしき場所。既にトルク内の人類は滅び、そこでは人間並の知性を持つ猫達が生活していた。 猫達は「大集会」という宗教組織を結成し、トルクを統治していた。 大集会に…