キィの日記

趣味のお話とか

最高の限界オタク映画~映画評『タクシードライバー』~

限界オタク・・・あまりにも見ていられない、痛々しい、惨めすぎて見ている方が泣けてくるオタク

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 あらすじ(ラストまで書いてるぞ)

低学歴で金も無いダメ人間ラヴィスは貧民街を走るタクシードライバー。ある日、トラヴィスは街で見かけた美人ベッティーに一目惚れ。彼女を口説くために彼女が勤務するパランタイン上院議員の選挙事務所へ通う。なんとか映画館デートの約束を取り付けたトラヴィスだったが、連れて行った先がポルノ映画館だった為にフラれてしまう(トラヴィスはポルノ映画以外の娯楽を知らないのだ)。

失恋のショック、ゴミみたいな貧民街、自分をバカにする世の中全てにキレたトラヴィスは大統領候補のパランタインを暗殺する計画を立てる。

そんな折、トラヴィスは12歳の売春婦アイリスと街で出会う。アイリスにガチ恋したトラヴィスはアイリスを買ったのに指一本触れず「こんなことはやめろ!俺と一緒にこの売春宿から逃げるんだ!親の所に返してやる!」と説教をする。自分から家出をして売春婦になり、しかも売春宿のオーナーといい恋人関係になっているアイリスはトラヴィスを冷ややかに見つめていた。

パランタイン暗殺計画を実行する日がやって来た。ベッティーにフラれるのも世間にバカにされるのも全てはパランタインのせいに違いない。革命を起こすのだ!

しかしあっさりSPに見つかり失敗。

苛立ちを抑えられないトラヴィスは急遽ターゲットを変更する。愛しのアイリスたんを苦しめている(とトラヴィスが勝手に思っている)売春宿のオーナーをブチ殺すのだ!

こちらは大成功!見事オーナーやスタッフらアイリス以外の売春宿の人間を皆殺しにしたトラヴィスだったが、アイリスは悲鳴を上げるばかりでトラヴィスを受け入れようとはしなかった。

それから数ヶ月、トラヴィスはマスコミに『12歳の少女を救ったヒーロー』として報道された。アイリスの親からは感謝の手紙も届いた。自分勝手な暴力にすぎない行動で皮肉にも英雄になったトラヴィスは割とすんなりシャバに戻ってきていた。

ラヴィスのタクシーは今日も走り続ける……。

限界オタク描写が秀逸

ラヴィスがベッティーとせっかくいい感じになったのに、ポルノ映画に連れて行ってドン引きさせる構図。これどこかで見覚えありませんか?

そうです!唐突にアニメの話を初めてドン引きされるキモオタなんですね!いやーキモオタはどんな時代どんな場所にいてもキモオタなんすねぇ!

他にもロリコンだったり、ロリ風俗嬢にガチ恋したり、ロリ風俗嬢にプラトニックな関係を求めて説教したり……。

うわああああああああああああああああ

・学が無い

・金が無い

・体が貧相

・暗殺計画を立ててから急に元気になって筋トレ始める=イキり要素

・暗殺計画の為に拳銃を購入し、鏡の前で決めセリフを練習する

・特に自分と接点のない権力者や悪者に異様に執着して、殺そうとする(=ネット炎上した人間に異様な正義感を持って執着するオタク)

・無理して美人を口説こうとする

・女の子をポルノ映画=相容れない趣味に付き合わせてドン引きさせる

・趣味の選択肢がポルノ映画しかない(=深夜アニメ以外の娯楽を知らない奴)

・風俗嬢にガチ恋

・風俗嬢にプラトニックな関係を求めた挙句、説教

限界オタク要素ダブル役満じゃねぇか!

やっぱり日本人で、キモオタの僕の目にはトラヴィスはこんな風に映っちゃいますね。(加藤智大とか中村泰を思い出しちゃったよ)

やっぱりどんな時代どんな場所にいてもキモオタはキモオタなんだよ……。

学生運動やってた人達もトラヴィスみたいなキモオタだったんだろうなぁ。

とにかく何かに抑圧されていて、何かをぶっ壊したくて。

それは決して『大人』とか『政治家』みたいなハッキリしている物なんかじゃない。

もっとぼんやりしていてもっと恐ろしいもの。

そういう見えない怪物を殺さなきゃいけないと分かっていながら、実体のある悪『大人』『政治家』『ネット炎上した悪者』『世間』に歯向かってしまう。

そんなやるせなさが分かる人に是非観て欲しい映画です。

ずっと昔の映画だけれど、ここに流れているトラヴィスの怒りは本物だ。

僕らが発するひん曲がった正義感と同じなんだ。

でもトラヴィスのまんまじゃダメなんだよ……。

女の子にモテないんだよ……。