キィの日記

趣味のお話とか

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 元来、僕には、酷い道化をしてやりたい気分になる時がある。スクランブル交差点の中心でオナニー・ショーでもしてやりたい気分にだ。自慢じゃあないが、現実世界の僕を知る人間の多く……所謂「善良な人々」は「君は真面目だねえ」なんて評価を下すのだ。真面目?僕が?それは、倫理的、道徳的に大変優れた人間です、という評価か?僕はそんなこと言われると、もう本当に我慢できなくって、ただ相手を驚かすため、ただそれだけのために道化をやってしまう。皆、面白がって、不気味がって、笑うなり恐怖するなり十人十色。面白いよね。そして最後には、全部台無しにしちまう。小さい頃、積み木で作ったものを、最後にバラバラに壊してやるのが好きだった。そういう子供だったんだ僕は。

「善良な人々」が僕を心の底では馬鹿にしてたことなんて知っていたよ。知っていたさ。でも、どうだい、僕のショーは。醜悪な、悪趣味なショーはどうだい。びっくりしたかい?ええ?「教室で一人読書をしているつまらないアイツ」が、子供好みの下品なセリフや、まるで意味を成さない癲狂持ちみたいな言動をする様は。僕はそういう人間だよ。誇りだとか、そういうかっこつけしい物なんて持ちあわせちゃいないのさ。

 そんな事だからねえ、僕は、そういう道化の集まりに身を置いてみたのさ。もう「善良な人々」の前でショーをするのに疲れちまったのさ。インターネットってのはすごいぜ。普段絶対表に顔を出さない道化共が、誰の道化がより優れているのか競ってるのさ。道化同士で道化したってしょうがないだろうにねぇ。道化には「善良な人々」がオーディエンスに必要なのさ!「自分はこいつのような道化ではないぞ」という類の人間さ。道化が道化の前でオナニー・ショーをしたってねぇ、結局それはオナニーの見せあいっこさ。木戸銭の取れないオナニーを、道化がするのか?馬鹿らしいことだよ。

 そうして道化を観察する側に回ってみるとねぇ、それはそれは気分の悪いことだよ!自分もまた、そういう類の癲狂を持っているんだって、理解せざるを得ないからな。

 そういう良心がこれっぽっちも無いような場所にあっても、人間同士の交流ってのは生まれるものさ。そうして僕も誰かと心の交流を育むようなこともあったさ。でもねぇ、やっぱり僕の心の奥底には、酔狂な、悪趣味な道化がいるんだねえ。特に僕は、女に目がないのさ。もう女ってだけで、チンポがおっ勃っちまうんだ。へ、へ、へ。しかもだ、道化の僕を見て、近づいてくるような女はだな、道化を折り込み済みってわけだ。だから僕はどこまでも、どこまでも道化になれるんだぜ。醜悪な道化にねえ。僕はホモ野郎じゃあないから、男相手の道化じゃ、醜悪さは笑い話にしかならねぇ。でも女相手なら、たとえ男相手にやったのと同じそれであっても、醜悪な、まさに僕の目標とすべき醜悪な振る舞いになるのさ。僕のことを、ただの面白人間だと思って近づいてきたバカに後悔させてやるのさ。侮蔑の苦笑いを浮かべて僕にサヨナラする様なんて、傑作さ!叶うなら、奴らの先祖の墓とか、そういうモノを突き止めて、そこにションベンひっかけてやりたかったさ。僕は探偵じゃないから、無理だったけどさあ。

 でもねえ、僕にだって時々、センチメンタルな、メランコリックな、懺悔の気持ちが湧き上がることもあるのさ。せっかく、仲良くなれそうだったのになあ!どうしてこう……いつも台無しにしてしまうかねえ!本当さ……。僕はただ皆と仲良くなりたかっただけなんだ……。君の墓石にションベンひっかけりゃあ、或いは、君のバイブルで僕のケツにこびりついた糞を拭いてやれば、きっと仲良くなれると、本気で思ってるのさ……。へ、へ、へ!